冬虫夏草の話
【注意】今回は冬虫夏草の写真が一杯出てくるので、「虫なんて大嫌い、毛虫なんて冗談じゃない!」という方はご覧にならないでください。
昨年のスミレに続いて、今年は冬虫夏草の勉強を始めました。
私の場合は鳥や虫、花やキノコの名前が判ると、山歩きの楽しみが何倍にもなりますし、反対に名前が判らないと興味が半減してしまいます。山歩きの楽しみをさらに増やそうと今年は冬虫夏草の名前を覚えることにしました。
きっかけはたまたま今年の春先に家の裏で木に止まって死んでいる蛾を見つけたのが始まりです。その時の話はコチラに書いています。
blackvespa.hatenablog.com
パッと見は死んだ蛾にカビが生えたようですが、なんとなく「あれ?これって冬虫夏草じゃないか」と思い、写真を撮って図書館やネットで調べてみると、どうやら地面ではなくて木の枝などにくっついて生える(気生型というのだそうです)ガヤドリナガミノツブタケというものらしいということが判りました。
7月になってから写したもの。多少成長したかな。
もっと成長するかと思ったら梅雨末期の土砂降りで壊れてしまいました。
冬虫夏草はどうも梅雨頃からが本格的なシーズンのようで季節が来るのを冬虫夏草生態図鑑、冬虫夏草ハンドブックや冬虫夏草を探しに行こうなど購入して楽しみに待っていたのでした。
実際に地面から生えている(地生型というそうです)冬虫夏草はびっくりするほどあっけなく見つかりました。初体験はコチラに書いてます。
blackvespa.hatenablog.com
最初に見つけたのはスズメバチから出ているハチタケというので、凄い迫力があります。
気をよくしてさらに見つけるぞと思ったらハチタケが次々に見つかりました。
カメムシに寄生するカメムシタケも見つけました。これは鮮やかな色で強烈なインパクトがあります。
ただちょっと宿主のカメムシが地味だったので、もう少し綺麗で見栄えのするツノアオカメムシあたりから出ているのはないかと探したらこれもすぐに見つかりました。まるで人魂ならぬカメムシ魂が天に昇っていくかのようです。
お尻にハサミのついているハサミツノカメムシの仲間から発生しているのも見つけました。
翌日には駐車場へ行く途中にデッカイ毛虫から出ているのを見つけました。日本冬虫夏草の会のどろんこさんに同定をお願いしたところ、毛虫に寄生するハリタケ型のものだそうです。
【次の写真はいよいよ危険なので気を付けてください】
見つけたときは毛虫がまだ生々しくて、自分でも写してて気持ち悪い!
成熟するのを待っているうちに毛虫が縮んでよく判らなくなってきました。これくらいならそんなに気持ち悪くない。
子嚢殻(胞子が入っているツブツブ)も出来てきました。
冬虫夏草が沢山でる場所を坪というそうですが、どうやらうちの庭はその坪というものかも知れません。
庭だけで探しているのも飽きてきたので、黒曜の水を汲みに行くついでに和田峠付近の旧中仙道を少し覗いてみました。
苔の中から顔を出しているのを見つけました。
苔をどかすとコメツキの幼虫っぽいのから出ています。
こちらは一週間後です。だいぶ成熟して子嚢殻が出てきました。子嚢殻が菌糸の膜を突き破って出てきてる感じです。コロモコメツキムシタケというヤツでしょうか(いい加減ですよ)。
ハチタケも見つかりました。探せば見つかるもんですね。
今週火曜日は蓼科中腹で探してみました。気生型、地生型と見つけたので、今回は朽木の中にいる甲虫の幼虫などに寄生する朽木生型を見つけたいと思いミズナラ、カシワなどの落葉広葉樹林内をウロウロしたのですがなかなか見つけられません。何も見つからないままさまよっていると、昼近くになって岩が面白いオブジェになっているところに出ました。
ここは谷筋になっていて湿度も高そうだし、下草もほとんど生えていません。これは良いんじゃないかと思っていたらシャクジョウソウを見つけました。
うちの庭でも冬虫夏草の出るところにはギンリョウソウが生えているのでこれはますます良いんじゃないかと探します。
むー、怪しげなキノコ発見。もう一息(関係ないけどね)。
むむー、怪しげなキノコ発見。あと少し(ほんと関係ないけどね)。
もうねぇシャクジョウソウも怪しげなキノコもおまじないのようなもので、「よし、ここはあるぞ!」と自分に暗示をかけているだけなんですけどね。見つかる気がする→集中力が上がる→本当に見つかる→さらに集中→ますます見つかる、みたいな感じ。
ほらあった! カメムシタケ発見。これは目立つので私のような素人にはとても有難い目印になります。
「一本あったら二本あると思え」が鉄則と本に書いてあったので真剣に探すと、あー、ありました。朽木から出ているのを発見!やりました!
一度見つけて目が慣れれば付近に転がっている朽木から次々見つかります。
おー、これは大きい!朽木がほとんど土に変わっているところから出ていました。宿主はキマワリの幼虫みたいです。
どれも未熟な個体で良く判りませんが、柄に微毛が生えているように見えるのでウスゲクチキムシタケあたりでしょうか(いい加減ですよ)。
最後は家の薪に止まったゴマフカミキリに出たボーベリア(Beauveria属)。以前は殺虫カビとして冬虫夏草には含まれていなかったようです。うん、これはカビだね。
気生型のガヤドリナガミノツブタケに続いて、この夏は地生型のハチタケ、カメムシタケ、毛虫のハリタケ、コロモコメツキムシタケ(?)、朽木生型のウスゲクチキムシタケ(?)、そしてボーベリアを見つけることができました。初年度はまぁこんなものかな。