天然に

愛知県の自宅と長野県長和町を行ったり来たりの二拠点生活をしています。主に信州の風景、花、虫などの写真を載せたり、山での暮らしを書いています。

PENTAXでアンドロメダを写そう

 まだアンドロメダを写したことがないPENTAXユーザのために書いた記事です。「なんだ、アンドロメダか」という方がご覧になってもまったく役に立ちませんが、アンドロメダを写したいなと思いながらなかなかうまくいかないという方には多少役に立つかもしれません。私自身、過去2回アンドロメダを写そうとして全然歯が立たなかったのですが、今回はなんとか写すことができました。そして今回、どうして今まで写せなかったのか判ったポイントを書いてみました。なお撮影時には「PENTAXアストロトレーサーを極める薄い本(Kindle版)」を参考にしました。この本、お薦めです。

 アンドロメダが凄くでかいというのは知っていました。300㎜で写した月とアンドロメダを比べて見てください。どちらもノートリミングです。

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 でかいでしょう。月の3倍はありますね。こんなでかいのが空に浮かんでいたら簡単に写せると思ったのがまず間違いで、そしてこれが一つ目のポイントです。流石にここまではっきり見えるとは思ってませんでしたが、ネットで調べたりすると眼が良い人なら肉眼でも見えると書いてあったりするんですよ。私の視力は両眼とも1.0くらいで決して良くはないけどそれほど悪い訳でもありません。きっと凄く暗いんだろうけど眼の良い人にはこの楕円形をしたやつが見えてると思ってました。はっきり言うと楕円は見えません。確かに眼の良い人なら真ん中の明るいところは肉眼で見えると思いますが、銀河の形は見えません。ぼんやりしたでっかい楕円を探していたので見つかるわけがなかったんです。アンドロメダは見つければでかいので写せるけど、見つからないものは写しようがないですよね。
 それでは実際に写すための方法です。必要なものはO-Gps1若しくは追尾機能内蔵のカメラと望遠レンズ、それにみあった三脚、そしてスマホの星座アプリです。望遠レンズは相手がでかいのでAPS-C機だと300㎜以下でよいと思います。
 先ずは見つけ方。現地に着いたらスマホの星座アプリでアンドロメダを検索してください。私は星座盤という無料アプリを使いました。
 星座盤でアンドロメダを検索したところです。カシオペアのすぐ右にありました。

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 で、実際の空と見比べるのですが、無い!やっぱりありません。星座盤通りの位置にカシオペアはあるのに、アンドロメダは無い。8倍の双眼鏡を持っていたのでそれで見てもやっぱり無い。仕方ないのでズームレンズの16㎜側でアンドロメダがあると思われるあたりを適当に写してみました。

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 どうでしょう、アプリが教えてくれているあたりに怪しいのがいるのが判りますか?

 画像を切り出して拡大したものです。こいつが怪しいですね。他の星は丸いのにコレはちょっと潰れてるように見えませんか?

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 そして二つ目のポイント、レンズをズームすればモニターで見えると思ったら大間違い。この怪しいヤツを85㎜までズームしてカメラ背面のモニターを見ても銀河は見えません。上のは写真になったのを拡大してるから見えているだけです。モニターではノイズが酷くてなにがなんだか判りません。ただし、星と違ってピントが合わない点が重要です。星はピントを合わせると小さくなってキリッとしてくるけど、アンドロメダはボヤッとしたままです。ピントを合わせようとしてもぼやぁ~が多少小さくなってボヤッとしかならなかったらそれがアンドロメダです。

 アンドロメダらしきヤツをフレームに捉えたら三脚を動かさないようにしてそのままレンズを望遠に交換します。私はDA300mmを使いましたが、こいつは三脚座がレンズに付いているのでボディーを三脚から外して交換になりました。さてこのレンズ交換後にGpsの精密キャリブレーションってするべきなのかな?判らないので私はやりました。精密キャリブレーションはカメラの説明通りよりも、やはり8の字を書くように振り回した方が簡単です。真っ暗な中で300㎜を着けたカメラをぶんぶん振り回しました。夜はあまり車の通らない県道沿いの山の中の駐車スペースで撮影していたのですが、丁度このとき車が通りました。もうほとんど不審者案件です。宇宙人と交信している電波ジジイと思われたかも。
 とりあえず通報されることもなく無事にキャリブレーションが終わったので三脚に取り付けました。ここからが最後の難関。広角から望遠に替えて目に見えないモノをフレームに入れなければなりません。キャリブレーションをうだうだやってるうちに相手は動いています。あ、動いてるのはこっちか。カメラのモニターを頼りに先ほど見たボヤッとしたヤツをなんとか捉えたらモニターを拡大して、ボヤッがなるべく小さくなるようにピントを調整します。よし、OK!モニターにはちょっと赤っぽいボヤッとしたシミみたいなのがノイズの中に見えてるだけで、全然銀河になってないけど大丈夫。あとは信じてシャッターを切るだけ。実はこの時点で私も半信半疑でした。因みにこの時の露出はf5.6、ISO3200、露光時間は30秒でした。ノイズリダクションは切っておいたほうが時間が短くて結果がすぐに分かるのでよいと思います。そして30秒待ったそのとき、プレビュー画面にパッとアンドロメダが出てきたときは本当に感激しました。ビンゴッって感じです。

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 えっ?全然それっぽくないって?いやいや、真っ暗な屋外でこれがでてくると本当に嬉しいですよ。

 それではここからはおまけです。私は基本的にRAWで写してLightroomで現像しています。この元画像をLightroomでいかに仕上げるかですが、本当のやり方は知らないので私が試行錯誤した手順を書いておきます。

 上と同じ元の画像です。

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 元画像ではアンドロメダがうっすらとしか写っていないので露光量を+2.02まで上げました。

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 アンドロメダは出てきたけど、全体に明るくなってしまったので黒レベルを-74まで下げました。

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 だいぶそれっぽくなってきました。まだアンドロメダがはっきりしないので白レベルを+77まで上げました。

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 おぉ、いい感じなってきました。真ん中が明るすぎるのでハイライトを-100までめいっぱい下げました。

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 それっぽくなりましたがノイズが気になるのでノイズ軽減の輝度を85にしてみます。周りが雲のようになりました。

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 コントラストを+19に上げてみました。

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 これでも良いかなと思いましたが、ノイズ軽減の輝度を52まで下げてみたらこっちの方が好みかもしれません。現像で凄く変わるのでいろいろ遊べます。

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 出来上がった画像をトリミングしてみました。近くに別の銀河が二つあるところがアンドロメダをよりカッコよく見せてます。

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 初めてアンドロメダを写そうと出掛けたとき、全然見つからなくて夜の山中で途方に暮れました。せっかく好天の夜に出かけたのに写すどころか見つけることさえできないと嫌になってしまいますね。一年近く経ってまたアンドロメダが見える時期になり、もう一度挑戦しました。このときはわざわざ出掛ける気にもならず庭から見えているはずなので写そうとしたのですが、やはりまったく見つかりませんでした。それからまた一年経ちました。今回は台風一過の好天で、夜になって庭に出たら星がものすごく沢山見えていました。アンドロメダはおいといて天の川を写そうと出掛けたところ、星座アプリで丁度目の前の開けた方向にアンドロメダがあったので、絶対あそこにあるはずだとやってみたところなんとか写すことができました。アンドロメダは肉眼でもカメラのモニターで探しても見つかりませんが、見えないモノを写すつもりでやれば写せるということが判りました。あの小さくて赤いボヤッとしたのがそうだと覚えれば、次回からは意外と簡単に写せるんじゃないかと思います。