伊吹の弥高尾根でスミレを見てきました
まだかまだかと待ちわびた春も来てしまえばあっという間に去ってしまいます。あの花も見に行きたい、この花も見たいと思ってはいても毎年のごとく三分の一も実現すれば上出来です。更に今年はいきなり暖かくなったので花時期がさっぱり判りません。とりあえず大好きなスミレは極力見ておきたいので先ずは伊吹山の弥高尾根へ行ってきました。運よく丁度良い時期に当たったようで8種1品種と出会うことが出来ました。流石は花の名山です。
先ずは地上茎の有る種類から。
一番多いのはやはりタチツボスミレ。この種は変異・変種が多いので未だに苦手ですがどれもタチツボだと割り切ればまぁ幸せになれます。色も白花かと思うようなのからニオイタチツボかなと迷うようなのまでいろいろありますが、濃い薄いはあっても基本的に藤色だと思っています。
これはタチツボの1品種でオトメスミレ。花は白で距のところだけ藤色が出ます。かの牧野富太郎博士が箱根の乙女峠で見つけたことからオトメスミレと呼ばれているそうです。タチツボの花は時間が経つと色が抜けて白っぽくなりますが、本物の白花は初めから真っ白です。なかなか上品な品種で好きな花です。
濃い花色をしたニオイタチツボスミレ。タチツボは5枚の花弁がバラバラに咲きますが、ニオイタチツボは丸くて大きな花弁が重なり合って咲きます。色は紫が濃く出てオヤマノエンドウのような感じになります。花の付け根の白い部分と紫の部分との差がはっきりしているところも区別点になります。葉の先はタチツボほど尖らず丸くなります。良い香りがするということですが花粉症の私はどうも花の匂いを嗅ぐのが躊躇われ未体験です。
伊吹山で発見されたことから名前が付いたイブキスミレ。まだ咲き始めたところで蕾を着けた株は沢山ありましたが咲いている花は1輪しか見つけられませんでした。葉が特徴的で花が咲いていなくても判ります。私的にはワサビの葉のイメージ。
どこにいっても出会えるニョイスミレ。可愛らしい花を着けます。
ここから地上茎が無い種類です。
スミレサイシンの仲間のアケボノスミレ。紅色を帯びた豪華な花を咲かせます。上弁の2枚が反転してしまうところが少し残念ですが、この独特の花色は素晴らしいと思ます。
葉が細く分かれていて判別しやすいのでスミレを始めてすぐに覚えたヒゴスミレ。信州のうちの庭に自生しているのは真っ白な花ですが、ここのは大きな花弁に紅を指していてなかなか色気があります。
これはちょっと変わった花弁をしたヒゴスミレ。
葉の裏側が紫色をしているシハイスミレ(紫背菫)。花も葉も個体変異が大きいし、葉の裏側が紫色にならないのもあるし、更にこのあたりはマキノスミレとの移行地域でもあるので余計にややこしいですが、結局みんなシハイと納得すれば幸せになれます。同じ場所でもいろんな花が出るので見ていて楽しい花です。
これも変異の大きいフモトスミレ。これは葉が立ち上がっていますが、斑入りの葉を地面に張り付くように広げる個体が多いように思います。
以下はスミレではないけれどこの日見かけた花などです。
アジュガ。私には同定できません。そのうち勉強しようと思ってはいますが。
ヒメハギ。草むらの中で咲いていてまともに写せませんでした。
春と言えばカタクリ。うちの庭にも咲いているけど山で見つけると幸せになれる花。
ミヤマカタバミ。伊吹には白とピンクの両方ありますがここは白でした。
ワサビの花と葉。
林床のヤブレガサ。
自然の中で咲いている花を見るというのは私にとって山歩きの大きな楽しみになっています。花を見るために歩いているときの方が多いかもしれません。そういう楽しみ方をするようになってからも実はスミレはずっと苦手でした。なにせ名前が判らない。綺麗なスミレだなと思っても名前が判らないというのは興味を大きく削がれてしまいます。そこで3年前に一大決心をしてスミレの勉強を始めました。最初の年はさっぱり判らなくて何度も挫折しそうになりました。2年目は特徴のはっきりした種は少し判るようになって来ましたが、スミレ属の全体像が掴めていませんでした。昨年は自分の行動範囲内であれば花が無くても葉だけで概ね同定出来るようになってきました。その場で自信が無くても帰ってから写真と図鑑を見れば判るようにもなりました。そして4年目の今年はもう天狗さんです。鼻高々です。スミレが現地でほぼ同定できるようになるとなんとも楽しくて仕方ありません。同定誤りをやらかして大恥かくのは大抵こんな頃だね。