Rollei 35を買ってしまいました
古いフィルムカメラの話です。カラーネガをLightRoomでデジタイズすることが出来るようになったらフィルムカメラで写真を撮るのが俄然楽しくなってきました。でもICAREXは重いし、チリの積もったファインダーを覗いてピントを合わせるのが老眼にはなかなか辛くて。なのでもう少し手軽に持ち出せるフィルムカメラを探すことにしました。
条件はとにかく「軽いこと」。始めはコニカC35とかCONTAX T、TVSなどがいいかなと思いましたが露出が電子式で壊れそうな不安があったので機械式で探すことに。というのも手元に高校生の時に買ったNIKONのELがあるのですが数年前に電子部分が死んでしまったのです。こうなるとシャッタースピードが1/90に固定されてしまって使い物になりません。これより古いICAREXが使えるのに困ったものです。いっそのことライカへ行ってしまおうかとも思いましたが、ライカはカッコよすぎて私の好みに合わないのです。それにレンズが出っ張ってると手軽に持ち出し難いし。さらに老眼の問題もあります。軽くて、オートフォーカスで、だけど露出は機械式で、そしてレンズが出っ張ってない(沈胴式)フィルムカメラなんてあるのかな?
ありました、Rollei 35です!
Rollei 35はドイツのRollei-Werke Franke & Heideckeから1967年に発売された35mmサイズのフィルムカメラです。独特のデザインと超小型のボディ。そして露出計はゴッセン製、シャッターはデッケルのコンパー、レンズは大好きなカールツァイスのテッサーを搭載するという一流づくしのカメラでもあります。
どのくらい小さいかというとGoogle home miniの上にちょこんと乗るくらい。
シャッターはCOMPURだぜ!と謳ってます。
レンズはCarl Zeiss tessar f3.5 40mm。個性的かつ超小型のボディに一流のパーツを組み込んでおいて40mmという中庸な画角、いいなぁ。
さすがにピント合わせはオートフォーカスではありませんが、老眼でも心配ご無用の目測式です。レンズ先端のフォーカスリングは1/3回転くらいで最短撮影距離の90cmから∞まで行ってしまいます。あいだにある1、1.2、1.5、2、3、6(m)と刻まれた目盛りに被写体までの距離を目測で見当をつけて合わせるだけです。
3mに合わせたところ。
露出計も付いているのでお手軽。レンズ両脇の絞りとシャッタースピードダイヤルを使って赤い針を白い針に合わせます。
半世紀前のカメラなのに人気があるので今でもいろいろなアクセサリーを簡単に入手することができます。
レンズキャップはただのプラスチックですが落とすと流石に純正は手に入れるのが難しいのでメタルのキャップを買いました。プラスチックの方は上から被せるので直径が大きい。右のメタルはねじ込み式なので安心。
ネックストラップも付いていましたが、この季節はTシャツでいることが多くてポケットがないので速写ケースも購入。こんな古いカメラなのにネットで探すと新しいのがいっぱい出てくるところが凄い。ICAREX用なんて絶対ないだろうなぁ。それでも結構高いので探していたらMG CAMERAさんで¥7,980というのを見つけ早速購入。ケースに入れたらどうせかさばってしまうからフードも用意。フードのキャップはM42マウントレンズの後端用プラスチックキャップがピッタリだったのでとりあえずはそれでよしとしました。いずれもう少しまともなのを購入するつもり。
ところで、目測式なんて大丈夫なのかって? 全然大丈夫、心配なし。いたって適当、でもきっちり写ります。
蓼科自由農園となりの808店頭です。おっ、シグリ農園の豆だ!
岐阜の高賀山へ行ったとき。縮小しているので判りませんが、拡大すると画面奥の民家の屋根瓦が識別できました。テッサー、頑張るなぁ。
真夏の太陽だって写せます。テッサー、頑張ってます。
このRollei 35ですが、2011年からTV放映されたアニメ「たまゆら」の中で主人公の女子高生が使っていたことから人気が再燃したとか、しないとか。主人公が撮った写真に白くて丸い玉が写ることがあって、これを「たまゆら」と言い幸せな気分のときに写るというようなお話らしいです。
Rollei 35は光の条件によってレンズを出し入れするレールが経年劣化で内部反射を起こすという欠点があるようで、もしかしたらこれが「たまゆら」なのかもしれません。
ドピーカンの日に写した写真です。家内の頭上にふわふわした白い雲のようなものが浮かんでいます。コレかもしれません。
さて、この現象を故障と捉えて修理するか、「たまゆら」が写ったと喜ぶか、どちらが幸せな選択かは人それぞれと思いますが、私は後者です。「ヤッタ、たまゆらが写った!」。
デジカメの進化が止まらなくて、どこまでも写ってしまうようになりました。花を写せばシベの花粉が、鳥を写せば目に写りこんだ景色が、山を写せば稜線を行く登山者がきっちり写っていないと物足りない。重い三脚にミラーアップ、AFは信用できなくてマニュアルで。そうなると老眼にも60肩にも辛くてデジイチを持ち出すことが減ってきていました。コンデジは望遠から接写までそれなりにこなしてくれるけど写真を撮っていてあまり楽しくない。我ながらいったいなにをやっているのやら。そんなところへRollei 35です。ピントは気にしなくて良い、小さくて軽い、なにより撮ってて楽しい。老後はRollei 35が幸せにしてくれます。